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亜人ちゃんは語りたい/ペトス(1~2巻【以下続刊】) 亜人ちゃん100点だけどセンセー25点

亜人ちゃんは語りたい(2)

吸血鬼や雪女といった「妖怪」「怪物」の要素を持った人間が存在する世界。彼らは「亜人(デミ)ちゃん」と呼ばれ社会に受け入れられてはいるものの、その体質が故に人と上手く近づけずに寂しさやコンプレックスを感じている。そして、その亜人に人一倍の関心を持つ高校教師・高橋。彼の勤める高校を舞台に、彼と、女子高生デミちゃんたちとの触れ合いと成長を描いたお話。

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かわいい亜人要素

この作品の魅力はやっぱりデミちゃんたちの可愛さ。悩む様子も、恋する様子も、はしゃぐ様子もすっごくかわいい。亜人の独特の体質や悩みがさらに彼女たちの可愛さを増して見せている。日常の女子高モノに、亜人というアイテムがうまく合わさってる。

また、「亜人」だからいじめられる…みたいな差別的なストレス展開もほとんどないのが良い。主に問題となるは、デミちゃんが自ら亜人としての特性を意識しすぎて、悩み引っ込みがちになっていること。地味な子が「自分こんな華やかな人と付き合ってはいけない」と身を引いてしまう展開なんかがよくあるけれど、構造はそれと同じ。同じなんだけれど、亜人という要素で展開にバラエティがあって面白いのだ。

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ペトス.亜人ちゃんは語りたい.1巻.第3話「小鳥遊姉妹は争えない」より.:亜人ギャグ。この吸血鬼の子は元気いっぱい。表情豊かなちょいバカキャラで超かわいい。

そして、このコンプレックスを取り除くのが高橋センセー。人一倍亜人に興味があるセンセーは、彼女たちに一歩近づいて、優しく心を開いていく。温かい日常物語。

センセー、お前…

しかしこのセンセー、作中では「大人で、分別があって、道徳的」な存在として描かれているんだけれど、行動が微妙。

例えば1巻の「雪女」への対応。彼女は、何がきっかけで自分が冷気をまき散らすのかわからず、傷つけることを恐れて近づく人々を遠ざけてしまう。一部の同級にはそれが「スカしている」と映り悪口を言われてしまう。そして、そんな雪女の苦しみ気づいたセンセーは、彼女をなだめるため思わずハグをする。亜人故の苦悩に、よりかわいそうに思って抱きしめる…おう。

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ペトス.亜人ちゃんは語りたい.1巻.第7話「高橋鉄男は守りたい」より.:悩む姿に、思わずギュッと。普通の生徒より一層守らなきゃとの気持ちからっぽいけど…

1巻全体としてはデミちゃんの可愛さや、設定の面白さ、テンポの良さが遥かに勝っていたのでこのハグも特に気にならなかったのだけれど…2巻。基本のスタンスもテンションも1巻と変わらないのだけれど、またこいつなんかやってるぞ。素面で突然の名前呼び、突然のセックス発言。

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ペトス.亜人ちゃんは語りたい.2巻.第15話「亜人ちゃんは呼ばれたい」/番外編「小鳥遊ひかりはバンパイア」より.:チャラ男か。

高橋は基本ずっとこんな調子で、騒ぐほどじゃないけどジリジリ違和感が増えてく。これって普通なのか。相手が嫌がってないからOKか。(知り合いの教師なんて男女問わずかわいそうなくらいその辺気を遣っているぞ。)「天然タラシ」なんて形容が作中であったので、多分「本人は大人の余裕で何も意識してないけれど、された側はドキドキ」という演出なんだろうけど。相手がまだ子供で、尚且つコンプレックスを抱えているのをいいことに、強い立場から調子乗ってるいけ好かないやつっぽく見えるぞ。なーにやってんだおめぇ。

先生モノにありがちな萎え

教師生徒の恋愛モノや学園モノでたまにあるんだけれど、「真面目な先生」設定のはずなのに生徒との距離感や言動がおかしいと萎える(もともと「フランク、型破り、適当」とかいう設定なら全く気にならないないのだけれど)。いい大人がまともなフリしてチョロい子供にチャラついてるっぽくなる。

この高橋も、地味で真面目で分別がある大人として描かれているのに、言うことやることがチャラ系イケメン男子高生みたいでチグハグ。そして、これらの行動全てが、女子生徒の心を溶かすイカしたもののように描かれ、人格者として賞賛されている。なんだかなぁ。

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ペトス.亜人ちゃんは語りたい.2巻.第10話「サキュバスさんはいい大人」より.:髪が伸ばせないデュラハンに対して「自分とお揃いでいい」と言う。おっさんが女子高生に「自分と同じ髪型でいいじゃん」って、冗談でもかなり自信がないと言えないぞ。風早くんでも言わないだろう。

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何でもかんでも「非現実的!配慮足りない!」なんてPTA的なことを言うのはナンセンスだけど、この高橋はヤダ。生徒同士で絡んでるシーンはひたすらかわいくて青春なのに。もったいない!

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