漫画のメモ帳

早口で漫画について話すブログ

感想メモ2:電子書籍サイト広告の威力がすごい… 曽根富美子/新なるもの断崖、花津ハナヨ/情熱のアレ、尾崎衣良/外面が良いにも程がある

スマホで色々なサイト見てるとかなりの数の漫画広告を目にしますが、限られたコマと煽り文ですっごく面白そうに見せるものが結構あるんですよね。2回、3回と目にふれると気になって買ってしまう。そして私の他にも同じような人はたくさんいるようで、面白そうな広告が出た漫画って、必ずと言っていいほどアマゾンkindleのランキングの上位に食い込んでくる(ほとんどrentaとかメチャコミとかシーモアの広告なんですが、アマゾンにも貢献しているという…)

そんなわけで、広告につられて買った漫画3つ。

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 曽根富美子/親なるもの 断崖(第1部、第2部【完結】)

著者の作品は、児童虐待家庭内暴力・不和、先天性障害、いじめ、精神疾患…等々、主に現代社会の中の問題を題材に扱った作品が多い。しかしこの「断崖」は、それらいつもの内容とは少し違って、昭和初期の遊郭が舞台となる作品。そして、ここでクローズアップされるのは「貧困」「階層」「性の消費」。遊郭に売られた貧しい農村の少女達。成り上がる者、ボロボロになる者、生き抜く者、死ぬ者…それぞれの過酷な人生を描いた作品。

遊郭モノって、華やかだけれど悲しい女の運命や、お色気シーンなんてものが押し出されたりするものだけれど、この作品ではそういう要素は薄い。貧乏さ、不潔さ、肉体的辛さが際立っていて、埃と小便と血の匂いがするよう。吉原や新町や島原でなく、冷たい北の大地が舞台なのもよりその過酷さを煽っている。悲惨な状況で、見ているのもつらいのに、なぜか読むのを止められない。面白い…という言葉が適当なのかわからないが、過酷な環境を生き抜く人々の行く末に惹きつけられてしまう。

親なるもの 断崖 第1部 (ミッシィコミックス)

 

花津ハナヨ/ 情熱のアレ(1巻~4巻【完結】)

 彼氏とのセックスレスに悩む主人公の姿が前面に押し出された広告だったので、そういうカップルの悲喜こもごもを描いたお話なのかと思いきや、ちょっと違った。セックスレスはあくまでスタート地点だった。ヒロインは、この彼氏との苦い思いをきっかけのひとつとして、もっと人々がセックスを楽しめるようにと、OLをやめてアダルトグッズのバイヤーに転職するのだ…すげぇな!!!まさかのキャリアアップ物語。

しかし、ヒロインがおしゃれ美人なのはともかく、その勤め先のアダルトグッズ卸にもイケメンで高学歴で仕事できる男がいたりして。さらにその人が人格者で、この仕事への熱い思いを語ったりするのだ。うーん、そこまでキラキラな演出しなくてもいいのに。逆に「やましいことじゃないんだよ!」って言い訳しているように感じられる。素敵な恋愛と、主人公の真面目さと、アダルトグッズ卸業という要素が微妙に不和を起こしてる。どれか1つに振り切れればもっと楽しめたかも。

情熱のアレ 1 (クイーンズコミックスDIGITAL)

 

 尾崎衣良/外面が良いにもほどがある(単巻)

 オムニバス4本からなる短編集。タイトルの話は、ゆるふわスイーツな同僚に見下されてしまうような、地味で何かと割を食う女性がヒロイン。しかし、実は彼女はとても美しく強か。そして、パッと見で彼女を見下していたリア充イケメンは図らずも彼女の虜になってしまう…といった内容。

どの話も、上っ面がいいだけのズルい男女を、内面がしっかりしていて実はハイスペックな主人公たちが蹴散らしていく構成。水戸黄門的王道さで結構すがすがしい。「実は見ていてくれる素敵なヒト」が必ずいるあたりが少女漫画的か。中学生の妄想の例として「全校生徒のまえで超絶技巧なバンド演奏でモテモテ」なんてのがあるけれど、あれをOL・会社員の恋愛版に落とし込んでもう少し現実味を加えた感じ。

2ちゃんの家庭板鬼女板まとめとかで、非常識な親戚や伴侶やご近所に一発喰らわせるエピソードが載ってたりするけれど、それに話の流れや雰囲気がとても似ている。頑張っている、正しい常識感覚を持った人が最終的に良い思いをする世界。いいね!

外面が良いにも程がある。 (フラワーコミックスα)

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というわけで、広告につられて買った作品だけれど、大外れな感じのものは今のところありません。今後もバリバリつられそう。

 

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